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土門拳記念館 [Architecture]

山形県酒田市にある『土門拳記念館』は、土門拳の全作品を収蔵展示する世界初の写真美術館だそうです。

谷口吉生さんの設計で、1983年の竣工です。
土門拳とは、「古寺巡礼」と称して全国各地にある寺院や仏像の写真を撮った、日本を代表する写真家です。
酒田市出身で、土門拳本人が作品を郷里に贈りたいということから、酒田市は土門拳記念館を開館したそうです。
また、2009年度ミシュラン・グリーンガイドに二つ星の観光地として紹介されました。

土門拳記念館の正面には、白鳥池という大きな池があります。
車から降りてもすぐには建築が見えず、サインに導かれて記念館に向かうと、まっすぐ伸びた道の先にまず池が見えます。
そして、池の水際に近づいたときに、初めて美術館の姿が見えるのです。

学部生のときに、美術館の設計演習でランドスケープを専門とする先生から、建築へのアプローチ(敷地入口からエントランスまでの流れの部分)の提案を強く求められました。
あの頃は、車降りて美術館に行くまでのルートはあまり歩かない方がいいかな、程度の認識でその話を聞いていましたが、今なら実感を持ってその重要性を理解できます。
車(あるいはバス)を降りて、すぐには建築の姿が見えなくて、池に近づいたとき、つまり池の存在を強く意識した後に建築が現れる、という一連の体験は、設計者が意図する建築の世界観を来場者に浸透させることができると思います。
そして、そのためには別に建築へのアプローチが最短距離でなくていいのです。
利便性では測れない価値がそこにあります。

土門拳記念館01.jpg

写真からもわかるように、対岸から記念館を臨むとまるで建築が水の上に浮いているように見えます。
また、背後の丘の曲線と建築のシャープな直線の対比が一つの風景をつくっています。

土門拳記念館02.jpg

逆にこの建築の側から対岸を臨むと、正面の池と桜並木の向こうに鳥海山が淡く浮かんで見えます。
そのため、池を周回しながら建築を見ると、様々な風景が見えます。
山と桜と池、建築と池、建築と桜、池の水際で憩う人々と建築。
そのどれもが建築と周囲との関係性が目に見える形となったものだと思います。

土門拳記念館03.jpg

外側からの話ばかりしましたが、内部を廻っている最中にも、外に向けた開口から、周囲と対峙する場面がいくつもあります。
上の写真は、裏の丘に面した開口からの眺めです。

この建築は、そこにあることで周囲の景色に新しい意味を付加しているように思いました。
少なくともこの建築があることで、私は周囲にある山や桜、池などの景色に目を留めることができたのだと思います。

土門拳記念館04.jpg
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コメント 2

とみっち

僕は写真をやってるので、土門拳さんのことはよく知ってますよ。
ここへはまだ行ったことないですが、池から臨める建物がすごく良さげですね☆
設計する方ってアプローチの部分からいろいろ考えたりするんですね☆
説明を読んですごくわかりました☆
僕もあまり歩かないほうがいいのかなって思っちゃったけど、外からも観せる建築を考えられてるんですね。
土門拳さんの作品は好きな物と好きではない物があったりしますが、
一度は訪れてみたいなという場所です♪
by とみっち (2010-08-10 11:05) 

natsukoaiba

私は、この土門拳記念館を見に行って、初めて土門拳さんという写真家を知りました。
すごく力強くて、写真の中に映っている人々のそのときの感情がひしひしと伝わってくるようでした。

この記念館がある酒田市近辺は、映画「おくりびと」のロケ地としても有名で、趣きのある風景がたくさんあるので、ぜひ行ってみてください。
by natsukoaiba (2010-08-12 17:34) 

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