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森舞台 [Architecture]

素敵な空間なのに、アクセスしづらい場所にあったり、規模が小さく用途が非常に限定的だったりするために、人知れずひっそりと佇む、そんな建築がたくさんあります。

隈研吾さんが設計した能舞台「伝統芸能伝承館 森舞台」もそんな建築のひとつだと思います。

「森舞台」は、宮城県北部の登米市にあります。
近くに電車の駅もなく、県道から少しはずれたところにあり、しかも高校の裏手にあるので、とても見つけづらいです。
実際、叔父がこの近辺で働いているのですが、この建築の存在をまったく知らなかったそうです。
そんな隠れたスポットです。

けれども、この建築はサントリー美術館や根津美術館を手掛けた有名建築家の作品でもあり、過去に日本建築学会作品賞も受賞したことがある、建築作品としては評価の高いものなのです。

森舞台_01.JPG

その名のとおり、建築の背後に竹林が高々と茂り、森が舞台の背景となっています。

森舞台_03.JPG

舞台正面の奥の鏡板には、日本画家千住博さんがによる老松と若竹が描かれてあります。

また、この能舞台は、演者が床を踏んだ際に響く音響効果を高めるために、舞台の下に瓶を置いてあるのですが、
その位置や向きは、現存する日本最古の能舞台として知られる「京都西本願寺北能舞台」を参考に配置されているそうで、能舞台としても本格的につくられています。

森舞台_04.JPG

この森舞台は、能舞台の他に地元登米の伝統芸能の歴史を紹介する展示空間もあるのですが、そちらは無印良品のアートディレクターとして有名な原研哉さんがデザインされているそうです。

隈研吾さん、千住博さん、原研哉さん、現在この3人の方が同時にお仕事をされると相当大がかりな一大プロジェクトになりそうです。
この建築は、1996年に竣工しているので、ちょうどこの3人が世間の注目を集め始めている時期にデザインされたため、実現できたのでしょう。


こんな建築が大勢の人に知られずにあるのが少しもったいない気もしますが、あまり人が来ないからこその価値がこの建築にはあると思います。

この建築は、もっぱら地元の「登米謡曲会」の方々が、200年以上の歴史のある登米能を練習し、演じるために利用されています。
宮城県では珍しいアマチュアでも演能できる舞台です。
毎年6月と9月の秋祭りの宵まつりには薪能が奉納されるそうで、私が過去に行ったときには、ちょうど秋祭りの能が行われる直前で外壁が青白幕で覆われていました。

この建築が全国規模で有名になり、大勢の人が押し寄せたら、「登米能」伝承のために地元の方が慎ましく演能する場所としては、使いづらくなるのではないでしょうか。


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この建築に出会うまで、建築はそれなりのお金をかけて作るのだからと、
どれだけの多くの人に知られ、どれだけ多くの人が訪れるかで、価値を計っていました。
けれども、この森舞台とその使われ方を見ると、それがすべてではないとしみじみと思いました。

森舞台_02.JPG

竹林の足下には、ひなげしの花が綺麗に咲いていました。


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とみっち

竹林や森も舞台の一部のように思える舞台ですね☆
能や行事に使われるんですね^^
すごく雰囲気がありますね☆
by とみっち (2010-08-18 13:11) 

natsukoaiba

そうなんですよね!
竹林を舞台の一部にしてしまうなんて、何とも粋な能舞台です。
今でこそ、能舞台って屋内のものがほとんどですが、昔は屋外で行うのが主流だったそうです。
by natsukoaiba (2010-08-18 22:22) 

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