So-net無料ブログ作成
検索選択

井上雄彦 最後のマンガ展 最終重版 [Exhibition]

今年も残すことあと1日となりました。
振り返ると、今年は大小あわせると10以上の展覧会に足を運びました。

大きなものだけでも、

国立新美術館:「オルセー美術館展2010」
せんだいメディアテーク:「井上雄彦 最後のマンガ展 最終重版」
ギャラリー間:「デイヴィッド・アジャイ展 OUT PUT」
東京国立近代美術館:「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」
三菱1号館美術館:「三菱が夢見た美術館」
森美術館:「ネイチャー・センス展:吉岡徳仁、篠田太郎、栗林隆」
資生堂ギャラリー:「石上純也展 建築はどこまで小さく、あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか?」
国立新美術館:「ゴッホ展-こうして私はゴッホになった-」

などがあります。

この中で1番印象に残っている展覧会をあげるならば、
それは、スラムダンクやバガボンドの作者である漫画家の井上雄彦さんの展覧会、
「井上雄彦 最後のマンガ展 最終重版」です。

井上雄彦最後のマンガ展01.jpeg

この展覧会は、2008年に上野で初開催され、その後「重版」として大阪、熊本と巡回し、
私が仙台で観たのが「最終重版」と銘打たれた最後の公開でした。

この巡回展が従来のものと少し違うのは、展示会場の空間構成に合わせて井上さんが加筆して、巡回を重ねるごとに新たな作画が増えていっているところです。

このことも示すように、この展覧会では展示空間も含めて作品であると捉えていて、「マンガ×空間」によってマンガを読ませる、マンガの世界を追体験させる展覧会でした。


私は、今年のゴールデンウィークにこの展覧会を観に行きました。

展覧会に関して何も前知識を得ずに行ってしまい、最初はただの原画展だと思って見ていました。
なので、最初は絵のとても近くに寄って、細かい描き込みなどをじっくり観察していました。

さすが原画なので、ホワイト(修正液)で白くした部分があったり、スクリーントーンが貼られたりしていて、
井上さんは漫画の原稿をこんな風に描かれているのかと、それだけでも感動がありました。
また、床から天井まで伸びる和紙に墨で生々しく描かれた人物には圧倒的な臨場感がありました。
そうやって、1枚1枚の絵を丁寧に見ていて、絵の中に潜むストーリーは意識の外でした。

ところが、途中からこの展覧会で展示されている絵たちは、一連のストーリーのもとに描かれていることに気づきました。
ストーリーはバガボンドの最終話と思わせるものでした。

それに気づいた瞬間から一気に展覧会に魅せられてしまいました。

ストーリーが進行しているシーンでは、明るい部屋で見る人の視線の位置とストーリーのテンポが計算されて絵は配置され、回想や精神世界の描写のシーンでは真っ暗な部屋で浮かび上がるように照明が当てられ、空間によって見る人の心にストーリーを焼きつけていきます。

荒々しい筆遣いの絵を大きな紙面で見せられると、強い威圧感を感じます。
細い線で繊細に描かれた絵を小さな紙面で見せられると、自然と息づかいを押し殺してしまいます。

そうやって、絵の世界に引き込まれ続けていると、ふと、現実とのリンクも起こりました。
手から滑り落ちる鞘、その絵の下には本物の鞘が置いてありました。

そういった細やかな仕掛けが積み重なって、次第に絵の中の世界を体験している錯覚になります。
もう、絵に近づいては見なくなり、数メートル離れたところから見るようになっていました。

真っ暗な部屋での展示が終わった直後、細い廊下の先に波打ち際に立つ少年の絵がありました。
暗い部屋から急に明るい部屋に出たので、絵が少し白んで見えます。
だからでしょうか、とてもノスタルジックな印象がしました。
浜辺に打ち寄せる波の絵を見ると、音は決してないのに、まるで遠く彼方から細波の音色が聞こえてくるようでした。

そして、最後に浜辺を駆ける少年たちの絵。

動線と絵の間には砂が敷き詰められところどころに流木が置かれてあり、見る人間はまるで絵の中のシーンを同じ浜辺から遠くに見つめるような感覚にさせられました。


--------
終わって見ると、絵画展というよりは映画を見た感覚に近かったです。

もっと言うならば、描かれている情景と同じ世界に立って、それを離れたところから見ている、そんな感覚です。
マンガと空間を掛け合わせると、こんな現象を生み出せるのかと感激させられました。
もちろん原画に主軸はありますが、それをひきたてる空間構成と空間演出が絶妙だったのです。
なので、建築や空間デザインに携わっている人こそ観る価値があった展覧会だったと思います。

余談ですが、退場した後に売店で今回の展覧会の図録「いのうえの-満月編-」を買いました。
けれども、それを見ただけでは、この展覧会の半分も魅力を味わえないと思います。

井上雄彦最後のマンガ展02.jpeg


最後のマンガ展 http://www.flow-er.co.jp/

FLOWER 最後のマンガ展 仙台版 http://www.flow-er.co.jp/sendai/

nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 1

コメント 4

yugo

あの時は情報ありがとーねー!
かなりタイミング良く仙台に行けて良かったよ。
牛タンいい思い出です 笑
by yugo (2010-12-31 12:11) 

とみっち

井上さんの展示は大阪に来た時、
行きたいなって思ってたんですけど結局行けませんでした。
その展示をしていたサントリーミュージアムも
今年で閉館になってしまいました・・。
またいつか美術館として利用されるらしいんですけどね。
また来年も美術館や建築などいろいろ紹介してくださいね♪
それでは、良いお年をお迎えくださいね^^
by とみっち (2010-12-31 16:29) 

natsukoaiba

yugoさん

また仙台のおもしろい情報あったら教えますねー!
牛タンも一緒に食べましょう。違うお店探しておきます。
by natsukoaiba (2011-01-01 21:50) 

natsukoaiba

とみっちさん

コメントありがとうございます。
今年も気に入った展覧会や建築があったらどんどん紹介したいと思います。
今年もよろしくお願いします。
by natsukoaiba (2011-01-01 21:53) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。